ツミ
2006年 04月 03日
と、一般の方から連絡が来ました。
勿論『野生動物は飼育出来ませんよ』と説明し、箱を開けて見ると…。
小型猛禽がチラッと見えました。
丁度、ダンボールの下側に穴が開いていたので、穴のふちに肉を置いてみると、
サッと一瞬にして無くなりました。
『お腹減らしているんだ~』
その後は、まるで息の合った餅つきの様に、置いては無くなり、置いては無くなり…
お皿の肉はあっという間に無くなってしまいました。
早速『BIRDER』でお馴染みの『赤勘兵衛氏』に連絡をし、来て頂きました。
見た瞬間、『ツミの♀(若)だね。ハイタカの♂にもサイズ的には似るけど、区別の仕方は尾羽の長さだよ。それにしても、何でこの時期にもう渡って来てるのか~。へぇ~。』
流石です。(因みにツミの雌雄の見分け方はサイズだけでなく、目が黄色いのが♀ 褐色が♂)
そんな二人を気にもせず、さっき箱に入れた肉をパクつくツミ♀
神経質と言われるツミが(しかも野生)人目を気にしないと言う事は相当削痩している証拠。
竜骨突起の周りの胸肉を触って見る(肉色当て)とペラペラです。
確かに、保護されてきたのは3月中旬。渡りにはまだ少し早い…
羽が落ちている様子(翼の骨折)もないし、獲物が獲れずに衰弱した所、カラスに襲われたのかな?と、二人で話して、リハビリ必要の無い期間のリミット10日間を目安にしっかり食べさせて、リリースする方針に決まりました。
短期保護ですので、テイルケースは付けません(ストレスになるので)
代わりに毎日尾羽、初列風切羽はお湯で濡らします。
①濡れている羽は折れにくい。
②糞が羽に付着し乾くと尾羽は簡単に折れてしまう。
③お湯に付ける事でダンボールに当たって曲がった羽を伸ばす事が出来る。
STOOPERのペルさんに傷病野生猛禽用に作って頂いていたフードを着けると、
身体検査も簡単。全く微動だにしません。
胸のハート型の班が若鳥である事を示しています。
保護→140g→170g→180gと順調に体重が増えてきたので
新聞の週間天気と睨めっこして、保護して8日目が晴れが2日続く日にあたったので、
リリース日に決定。
当日も身体チェックをして…
さて、出発です。
飛んで行け~。
ダンボールから勢い良く飛び出し、低空飛行をして5~6m先で着地しました。
キョロキョロするが、中々飛び立たないツミ。
何だか嫌な予感。
また、低空飛行で数m先に進みました。
『浮上出来ないんだ!』
回収!!!
走り出した私を見て、ビックリしながら逃げるツミ。
しかし、20m先で敢え無く捕獲。
今回の様に、全てのリリースが上手くいくとは限りません。
リリースがまだ早かった場合、回収をしなければいけません。
それにしても何で??
次の日に先生にレントゲンを撮って頂きました。
翼にはやはり骨折等なかったのですが、
右側の烏口骨(ウコウコツ)骨折が見つかりました。
烏口骨は翼の支柱になっている鳥特有の骨です。
私はココの骨折は初めてのケース。
オペは難しいので、ケージレストで骨が付くまで安静です。
はぁ~。
でも、また勉強になりました。
『烏口骨骨折をすると上昇(浮上)出来ない』
『烏口骨骨折では外見上、翼は下がったり上がったりしない』
『烏口骨骨折での飛行は、どちらかに傾く事無く、地面と平行に飛べる』
どうにか上手く骨が付く事を祈ります。