野生動物が残していった面白エピソ-ドから、真面目な話まで、様々な足跡を綴りました。      本サイトの掲載写真は許可無く転載、複製等固くお断り致します。すべての写真に著作権を有しています。


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ツミ

『カラスに襲われていた鳥を保護したのだけど、飼い方を教えて欲しい』
と、一般の方から連絡が来ました。

勿論『野生動物は飼育出来ませんよ』と説明し、箱を開けて見ると…。
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小型猛禽がチラッと見えました。

丁度、ダンボールの下側に穴が開いていたので、穴のふちに肉を置いてみると、
サッと一瞬にして無くなりました。
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『お腹減らしているんだ~』
その後は、まるで息の合った餅つきの様に、置いては無くなり、置いては無くなり…
お皿の肉はあっという間に無くなってしまいました。

早速『BIRDER』でお馴染みの『赤勘兵衛氏』に連絡をし、来て頂きました。

見た瞬間、『ツミの♀(若)だね。ハイタカの♂にもサイズ的には似るけど、区別の仕方は尾羽の長さだよ。それにしても、何でこの時期にもう渡って来てるのか~。へぇ~。』

流石です。(因みにツミの雌雄の見分け方はサイズだけでなく、目が黄色いのが♀ 褐色が♂)

そんな二人を気にもせず、さっき箱に入れた肉をパクつくツミ♀
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神経質と言われるツミが(しかも野生)人目を気にしないと言う事は相当削痩している証拠。
竜骨突起の周りの胸肉を触って見る(肉色当て)とペラペラです。

確かに、保護されてきたのは3月中旬。渡りにはまだ少し早い…
羽が落ちている様子(翼の骨折)もないし、獲物が獲れずに衰弱した所、カラスに襲われたのかな?と、二人で話して、リハビリ必要の無い期間のリミット10日間を目安にしっかり食べさせて、リリースする方針に決まりました。

短期保護ですので、テイルケースは付けません(ストレスになるので)
代わりに毎日尾羽、初列風切羽はお湯で濡らします。
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①濡れている羽は折れにくい。
②糞が羽に付着し乾くと尾羽は簡単に折れてしまう。
③お湯に付ける事でダンボールに当たって曲がった羽を伸ばす事が出来る。

STOOPERのペルさん傷病野生猛禽用に作って頂いていたフードを着けると、
身体検査も簡単。全く微動だにしません。
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胸のハート型の班が若鳥である事を示しています。
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保護→140g→170g→180gと順調に体重が増えてきたので
新聞の週間天気と睨めっこして、保護して8日目が晴れが2日続く日にあたったので、
リリース日に決定。

当日も身体チェックをして…
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さて、出発です。
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飛んで行け~。
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ダンボールから勢い良く飛び出し、低空飛行をして5~6m先で着地しました。

キョロキョロするが、中々飛び立たないツミ。
何だか嫌な予感。

また、低空飛行で数m先に進みました。

『浮上出来ないんだ!』

回収!!!

走り出した私を見て、ビックリしながら逃げるツミ。

しかし、20m先で敢え無く捕獲。
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今回の様に、全てのリリースが上手くいくとは限りません。
リリースがまだ早かった場合、回収をしなければいけません。

それにしても何で??

次の日に先生にレントゲンを撮って頂きました。
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翼にはやはり骨折等なかったのですが、
右側の烏口骨(ウコウコツ)骨折が見つかりました。

烏口骨は翼の支柱になっている鳥特有の骨です。
私はココの骨折は初めてのケース。

オペは難しいので、ケージレストで骨が付くまで安静です。

はぁ~。
でも、また勉強になりました。

『烏口骨骨折をすると上昇(浮上)出来ない』
『烏口骨骨折では外見上、翼は下がったり上がったりしない』
『烏口骨骨折での飛行は、どちらかに傾く事無く、地面と平行に飛べる』

どうにか上手く骨が付く事を祈ります。
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by w-a-tracks | 2006-04-03 22:12 | リハビリ